『ROCK’N’ROLL LOSER』と銘打たれた新たなるマスターピースを完成させたT HE NINGLERS(Vo&Gu:ZETSU、Ba:YOJIRO 、Gu:SHOWRING、Dr:SHINJI)の4人を、 彼ら自身の地元である仙台にて直撃。 今作についてはもちろんのこと、 曲作りのメカニズムや音楽的成り立ち、 今日に至るまでの変遷などについても改めてじっくりと語ってもら った。その長編インタビューを、3回に分けてお届けする。 今回はまず何よりも、この待望のニュー・ アルバムの制作動機について。彼らの口からは、 包み隠すことのない本音ばかりが聞こえてきた。

――ついに完成した『ROCK’N’ROLL LOSER』。前作の『OVER VOLTAGE』以来、約6年ぶりのニュー・ アルバムということになります。


ZETSU:気が付いたら6年経ってた、という感じですね。 今回のアルバムには、実はかなり古い曲も入ってるんですよ。 それこそトリオ編成時代に作ってたものとかも。


――僕自身、このバンドと初遭遇した頃はまだ3人編成でした。 とはいえ、この4人体制になってからもうずいぶん経ちますよね?


YOJIRO:なにしろ震災前の話ですからね。 


SHOWRING:もうかれこれ、8年とか9年になるのかな。


YOJIRO:どうあれ、 もうこのメンバーになってからがいちばん長いんです。


ZETSU:結成が2000年ですからね。だから実はもう、17 年にもなるわけで。


YOJIRO:アマチュアだからこそ、 この実績でこの長さを保ててるのかもしれない(笑)。


――確かに〈音楽で生計を立てている〉 というのがプロの定義だとするならば、THE NINGLERSはアマチュアなのかもしれません。 だけど僕はこのバンドを〈ロックンロールのプロフェッショナル〉 だと思っていますよ。


ZETSU:ありがとうございます! 勿体ない言葉ですよ、それは。 


YOJIRO:要はみんな、 私生活の部分があるわけじゃないですか。 それがこのバンドにとってはすごく大きくて。 バンドをやるために日々の労働に勤しむというのもあるし、 そういった日常のフラストレーションとかがバンドをやるうえでの 燃料になってる部分もある。だけど、 そういった忙しい日常がバンド活動の足を引っ張ることもあるわけ ですよ。常に付きまとってくるんですよね、そういうものが

ZETSU:つい最近、 ツイッターでも同じようなことを言ったんですけど、俺たち、 労働と人生に疲れ切ってるんです(笑)。だけど、 こうやってロックンロールをぶっ放すことで解消できる部分という のが確実にあるし、それを聴いて〈わーっ!〉 となってくれる人たちがいる。この感覚って、メジャーのプロ・ ミュージシャンには絶対理解できないものだと思う。 労働者がロック・バンドをやっていて、それがカッコいい―― それは、俺たちみたいなバンドにしかできないことなんです。 それを見て〈あいつらも頑張ってるんだから俺だって〉 と思ってくれてる人たちが、絶対いてくれるはずで。 バンドをやるために苦労してる、とは言いたくないけども、 ただパーティをやってるわけじゃないというのも理解して欲しいと ころではありますね。


SHINJI:俺たちは労働者階級のプロだ、 と言い切りたいですね。 


ZETSU:ワーキング・クラス・ヒーローになりたいわけです、 要するに。労働者階級でスタジアム・ロックをやる、みたいな( 笑)。


YOJIRO:もうね、日常生活は滅茶苦茶ですから、俺たち。 スタジオで顔を合わせた時にまず出てくるのは、 音楽の話じゃなくて、仕事や家庭内の鬱憤だから(笑)。


ZETSU:完全にルーザーです(笑)。 今回のアルバムのラストに入ってる表題曲の歌詞の、最後の1行が まさにすべてを言い尽してるというか。


――12曲目の“ROCK’N’ROLL LOSER”は最後、〈負けを知った俺には、 どんな奴も勝てない〉という言葉で締め括られています。 これは深いですよね。〈負けるが勝ち〉 といううのともまた根本的に違う。


ZETSU:負けを知ってるからこそ勝てるというか、 負けても価値が落ちないというか。 実際に勝ちはしないんだけど負けっぷりがカッコいいレスラーって 、評価も価値も落ちないじゃないですか。 そういうのに近いというか。

――ええ、わかります。 こう言っちゃ身も蓋もないかもしれませんけど、〈憂さ晴らし〉 のためにバンドをやっている、という部分もあるわけですよね? 


YOJIRO:実際、そこは大きいですね。 リスナーの側にしたって、 やっぱり憂さ晴らしできるところにロックやライヴの魅力を感じる 部分というのはあるはずだし。


――前に向かっていくためにも憂さを晴らす必要がある。 言い換えれば〈生きていくためにロックが必要〉 ということだと思うんです。 そういう人たちの出す音だからグッとくる、 というのもこちらにはあるわけで。


YOJIRO:そう思ってもらえてるんだとしたら嬉しいですね。 もちろん鬱憤をぶちまけたり仕事の愚痴ばっかり言ってるような生 活はしたくないんだけども、 それがあるからこそ逆にこのアルバムができた、 というのもあるんじゃないかな。 嫌なことと大好きなことというのは、 実はものすごく近いところにあるというか、 裏表の関係にあるというか。


――そういった鬱憤が6年ぶん蓄積されて生まれたのが今回のアル バム、ということになるわけですか?


ZETSU:いや、それもありますけど、 むしろアルバム制作は退屈しのぎですよ。


YOJIRO:何それ、カッコいいじゃん(笑)。 


ZETSU:、いつもの曲に飽きてきたというか。さすがにもう、 ライヴがマンネリ化してきてるのを実感してたんですよね。 新曲をやってみても反応鈍いし。 もちろん音源として出てもいない新曲をやって、 バカスカ盛り上がるバンドというのもそうそういないだろうけども (笑)。


YOJIRO:理由としてはやっぱりそこが大きかったね。 こっちとしては、やっぱり新しい曲をやるほうが楽しいし。 もうね、いい新曲ができてくるたびに、〈ヤバいっしょ、これ!〉 って感じでライヴの1曲目とかにやるわけですよ、自信満々に。 ところが、誰もついてきてくれない(笑)。 そういうことがあると、 俺たちにもちょっとメンタル弱いところがあるから、〈あの曲、 今じゃないのかも〉みたいな疑念を抱き始めてしまったり(笑)。 それでまた新曲をやらずに、 いつも通りのライヴをやることになってしまう。 それがちょっとしんどくなってきた、 というのは正直なところありましたね。

SHINJI: ライヴを活性化していくためにも新しい音源を出したほうがいいん じゃないか、とは感じてました。 自分たちがやりたい曲優先で選ぼうとすれば、 新しい曲ばかりになってくるわけですよ。やっぱり当然、 自分たち自身にとってホットな曲をやりたいわけで。


ZETSU:……ホ、ホットな曲(笑)。


――まあ、これまでの定番曲たちだって、 いまだに熱いままですけどね!


SHINJI:ただ、 今の自分たちにとって熱い曲だけやろうとすると未発表曲ばかりに なる。


YOJIRO:やっぱ、 なんだかんだで長いことやってますからね。そこで〈 ちゃんと活動してるんだぞ!〉 とアピールするためにも新しいのをそろそろ出さなきゃ、 というのはあった。


SHOWRING:俺とSHINJIは前々から「 作りましょうよ」って言ってたんです。だけど結構、 みんな腰が重くて(笑)。だから、 ようやくその気になったのかなって。 


――出ました、若者サイドからの本音!(笑)(※編注 SHOWRING・SHINJIと、最年長のZETSUの間は一 回り近く歳が離れている。)


ZETSU:いざレコーディングってことになると、 いちばん辛いの、俺なんですよ(苦笑)。 俺の負担がいちばんデカい。いろんな判断とかで神経も遣うし、 体力的にも消耗する。歌詞のこともあるし。とはいえ、 歌詞をまとめて一気に慌てて書いてるというわけじゃないんです。 その曲をライヴでやるようになってる時点で、 いつも歌詞はちゃんとできてるんで。それでもまあ、 大変なのは間違いないし、腰が重くならざるを得ないというか( 笑)


YOJIRO:あとはまあ……変な話、 予算の都合とかもあるわけで。アルバム1枚作るとなったら、 それなりに結構かかりますからね。前作の売り上げと、 グッズ販売の利益をせっせと貯蓄してきて……今回も結局、 それを使い切っちゃいましたからね。というか、6年もかけて前作 をそれしか売ってねえのかっていうダサい話になるわけですけど( 笑)。


ZETSU:はははは!


――生々しい話ですけど、 そういったさまざまな条件もようやく満たされ、 満を持してこうしてレコーディングすることになった。 その時点で、 古くからのものも含めて楽曲は揃っていたわけですね?


ZETSU:そうですね。実際、なんか今回は曲が多めで。8曲ぐ らいでいいんじゃないのかというのもあったんだけど、 結果的には全12曲になって。


YOJIRO:出し切りたいというのもあったんです、曲を全部。 ここで出し惜しみをしちゃうと、俺たちのなかで、 ここに入れなかった曲のブームが来ちゃった時にまたライヴで辛い 思いをすることになるわけだし(笑)。 アルバムに向けてのデモを録った直後にまた最高の曲ができてきて 、それを入れたくなったというのも実際あったし。 このアルバムを作りながら、 バンドのエンジンがより速く回るようになったというか。 


――まさにバンド自体が、 このアルバム制作によって活性化されているわけですね。


YOJIRO:うん。そういう意味でも、 作って良かったなと思う。


〈Vol.2へ続く〉


THE NINGLERS LIVE情報


2017.04.16 仙台フライングサン

(THE SLUT BANKS公演 オープニングアクト)


2017.06.4 静岡サナッシュ


2017.06.18 山形サンディニスタ


2017.07.17 仙台フライングサン


2017.07.22 東高円寺二万電圧


2017.08.27 仙台フライングサン


2017.010.7 大阪戦国大統領


2017.10.8 宮崎(会場未定)


2017.12.9 仙台(会場未定)


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